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自らの原点に立ち返る

久々にグラフィックデザインのレジェンド、亀倉雄策氏田中一光氏永井一正氏の著書を眺める。誤植ではない、デザイン書は「眺める」ほうが私は正解だと思う。

流れ流れて現在、Webの世界に身を投じているが、私はもともと『グラフィックデザイナー』であり、Webディレクターなんていう肩書き自分では似非だと思っている。ただ喰うためにはそんな事は言ってられないし、もうグラフィックの実績よりWebの実績の方が増えてしまったのは逃れられない現実になってしまった。

最近、縁あって雑誌広告を作らせてもらった。判面も小さくスミ1色で制限も多いが非常に楽しかった。考えてみると制限の中でデザインを生み出す楽しみ(普通の人には苦しみともいうが)は予算をのぞいてはWebの世界にはほぼないので、膨らますことを前提に表現を考えていく。グラフィックの場合は色数や判面など制約に併せてソリッドに削っていきながら表現を考えていく。人それぞれだと思うが私にとってが表現の思考が全くの逆パターンになることを改めて気づいた。

本題に戻るが、やはりレジェンド達は凄い。前回、紹介した原研哉氏も雲の上どころかソユーズあたりに君臨しているが、レジェンドは月にどっしりと腰掛けている感じだ。ページをめくるたび、各々のポスター作品が図案が胸の中に飛び込んで来て掻きまわしてくる。しかしこれをWebでやると胸焼けをするので出来ない。サラっとした梅酒よろしく、サラっと情報を見せることでリピートをさせたくなるように印象づけるのである。

10年前、学生時代にレジェンドの作品集を見た衝撃がまた再び蘇る。今回は図書館で借りた本達だが、これは自分を再認識する意味でも余裕がある時に買わなければならないと思う。そしてたまに「眺めて」原点回帰が必要だ。Webにどっぷり浸かってはならない、私は『グラフィックデザイナー』なんだから。

亀倉雄策のデザイン

亀倉雄策のデザイン

田中一光 gggBooks 世界のグラフィックデザインシリ-ス゛5

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