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Dear...

こんな時だから、あまり気にもとめたくなかったんだ。もちろん偶然だと思うけど0時ピッタリにiPhoneからメールの着信音が聞こえた時には、誰かと思ったよ。

ひさびさのメールでびっくりしたけど、そういえばキミにも知ってほしかったから、先輩の安否のメールを送っていたんだっけ。僕がそのことをすっかり忘れていたよ、ゴメン。

メールにはいまを憂う内容と生活にすこし悩んでいるようだったから、できるだけ励ましてあげられればと僕なりの言葉をのせてメールをしたよ。いま、僕が出来ることってそんなことぐらいだし、いまのキミがどんな生活をしているかもわからないから。2バイトのデジタル文字を気持ちという糸で編んであげて、背中をおしてあげることしかできないから。

メールを送ったらすぐに返信をくれたね。少し眠い目をこすりながらiPhoneの画面を見たよ。そうなんだ、僕らはだいぶ歳を取ってしまった。はじめて知り合ったのは18歳だったから。僕らは愛しあうことも躰を重ねることもなかったけど、同じ年だったし、純粋な友達だったんだ。逆にそんなこともなかったから、未だにあの頃の気持ちでいれるかもしれないね。

そして僕らは若かったんだ。毎日が楽しかったし、仕事も楽しかった。キミはみんなを盛り上げるムードメーカーだったから、僕は当時、少しみんなを上から見ないといけない立場だったけど、キミがみんなを盛り上げてくれることは、僕らみんなが楽しく仕事できる雰囲気を作ってくれたことに、今でも感謝しているよ。

あの時のキミは頼りなさげだったけど、今は見知らぬ土地で多くのスタッフを束ねているそうだね。僕は今のキミを知らないけど、すこし頑張りすぎているじゃないかな。キミは普通にしていても充分、人を惹きつける魅力はあるんだ。お互い歳をとったんだ。自然体に少し経験というスパイスを足して、スタッフに心から訴えてごらん。もう力まかせじゃできない歳なんだ、僕らは。

情勢不安や今回の災害で『人と人とのつながり』が本当に重要だっていうことを気付かされたよ。だってその前は世の中の人は自分のことしか考えていない人だらけだったじゃない。だけど今、まずは被災地の救済、そして復興という事が僕らの命題なんだ。自分の目の前にあることから地道にやることが大切だと思うんだ。

最後に、誕生日を祝ってくれてありがとう。僕らの歳はちょうど人生の折り返し地点、お互い再スタートの気持ちで頑張っていこうよ。そして胸に詰まることや悩んだら遠慮無くメールしてきなよ、だって友達じゃないか。