3b

Mail to Heaven...

Kかい。こっちの都合でわるいなぁ…いつかキミに会う前に伝えたいことがあったから、届くかどうかわからないメールを送ってみたよ。

もう俺も36になってしまったよ。キミと離ればなれになったのは18の頃、そうだよあれから2倍の歳を重ねてしまった。オジサンといわれても腹も立たない歳になってしまったけど、相変わらず嫁も子供もいないんだ…普通に落ち着かないのが俺らしいかな。逆に俺の子供なんかみたいかい? まぁ話のネタにはなりそうだけど。

そういえば、大変な事になったんだよ…

東北で歴史的に例を見ないほどの大地震が起きたんだ。関東でもいままで感じたこともないぐらい大きく揺れてさ、たまたま営業先にいたんだけど、街に出て見りゃ全ての電車や地下鉄が止まり、ヘリから警報のサイレンが聞こえ、うろたえた人々が街にあふれかえってさ。東京の街はそりゃパニック映画さながらだったよ。

まだ東京はそんなもんだけど、震源地が近い東北では、何も落ち度のないたくさんの人々が津波で一瞬で流され死んでしまったよ、それも行方不明の人もあわせると数万人という人々が。ありえないだろ、でも本当なんだ。被災して生き残った人も、東北の寒い気温の中、過酷な条件で復興に向け頑張っているよ。

おまけに絶対安全だったはずの福島の原発地震による大津波で破壊されて、放射能が広範囲に漏れちまった。チェルノブイリじゃなくて、この日本でね。

日本なんて『平和ボケ』なんて言葉があるぐらいさ、ボーッとした国だと思ったけどさ、原発が止まり発電量は大幅に落ちて、地域ごとに計画停電が起きたり、節電を呼びかけたりして、被災地に電気が出来るだけ行くように助け合って暮らしているよ。コンビニだって節電で大分暗くなったし、無駄に暑かった電車の暖房も最近はひんやりと寒いくらいだよ。

でもね、震災前の日本なんて他人のことなんてだれも考えてなくて、自分が生きることしか考えてない世知辛い国だと思ったけど、日本人が皆、立ち上がって被災地の復興に向けて募金が集まったり、世界中の人々が震災を受けた日本のために祈り支援をしてくれて、涙が出るぐらい嬉しい限りだよ。

そして考えてしまうんだ、自分がこういった時、何も出来ないことにね。困っている人を一人がれきの下から救えないし、被災者のための仮設住宅を作ることや水道を引くこともできない。悔しいぐらいに無力だよ。俺なんか口先三寸と絵しか描くことができなくて、全くなさけなくて自らが腹立たしいよ。

でも今回のことで色々気づかされたよ。自分が今、何をしたら良いかね。この歳になると所詮、会社なんて生きるための金を貰いに行っているようなもんだと思っていただけど、どうせ何があるかわからない世の中、やりたいことをやった方が思えてきたよ。

Kに会えるのはまだだいぶ先だと思うから…会う前にこの事は話しておきたくて。まだそっちに行くのは大分、先だと思う。まだ一発やらかしてないらからさ、期待しててくれよ。かならず会いに行くのは間違いないからさ。