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ゾクッとする広告をみました

偶然、ゾクッとする広告を見た。東芝LED電球広告である。

広告のオチとしては10年間持つLED電球の高寿命を訴えているのだが、その10年間をステレオタイプな人の営みをカーテン越しの影絵で表現している。

ざっとおさらいをすれば、一人の男の部屋にLED電球がセットされるのが冒頭だ。その彼が恋をして彼女ができる、そして流れのように結婚。二人での生活を経て子供が産まれ、日々の当たり前な家族生活がいい事も悪いことも描き出されていく。そして10年、いわゆる3653日が経ちそのLED電球は寿命になる。彼が新しいLED電球を付け替え、また新たなる「一日」が紡ぎ出されていく、というCMだ。

現代はリーマンショック以降の社会不安で未婚率も上がり、この広告を見て皮肉が出ている(YouTubeのコメント欄にて)のだが、私が子供の頃の親たちはこんなステレオタイプの幸せは誰もが享受できる幸せだったのだ。そういう意味でこのような当たり前の幸せも、学歴や道を踏み外さなかった選ばれた者だけが得られる意味で世知辛い国になってしまった。いわゆるこの広告は「三丁目の夕日」を見るようなノスタルジーなのである。

ただ広告のクオリティからすれば高いと私は思う、心を打たれたのは紛れも無い事実なので。最近のネット広告はクリックさせるためにフラッシュ的なものが多く、ストーリーを生み出しにくい。だからこそ、このような動画広告は心を打った。特に最近のソーシャルゲームやテレビ広告を見てもわかるように、なんでもアタマで考えなくてもいい様にWeb化しているように思えるし、辛辣な表現にはなるがユーザーに考えさせない事で、購入ターゲットの思考能力が乏しい人間に訴求させるのである。

そういった意味でもこの広告は、私の様な偏屈なターゲットには訴求したと思う。但し、電球は買わないであろう。テレビ広告もどうせ売れないのなら15秒枠をやめて、このような120秒以上の長尺のCMを作ったらいいと思う。もう人は流されてモノを買わない時代である。企業としてのビジョンを広告として売るということを考えてみてはどうだろうか。