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「ここは退屈迎えに来て」を読んだ

少し前に話題になった「ここは退屈迎えに来て」を読んだ。


余談だが、これを書いたのは深夜3時。寝る前に少し読もう思ったら、軽快な文章で止まらなくなり実質3時間程度で読み終えてしまった。無論、内容は軽薄短小というわけではなく、地方住みのいうなれば普通のマスな女子達の短編に無理やり引き込まれてしまったのだ。

筆者が描写する『地方』がかなりリアルである。イオンを中心とした街道の大型店舗が乱立する「ファスト風土」と表現されたテンプレート化された『地方』を舞台に交友関係や性などを女子目線から(一話例外があるが)、都会と地方、世間体と自由を冷徹に表現している。短編小説が複数話あるのだが、面白いのは全編において椎名という青春時代のオラが街の王子様が登場し、全編読むことで椎名の時系列も知ることが出来面白い伏線になっている。

私も旅をして感じたが都会と地方は同じ日本であるのに経済格差以上に違うものがあるのは事実である。そしてそのテンプレートにハマれない人々が都会へ出てくるが、結局都会でも適応できず地方で帰ってきて活路を見出す話などもあり地方が抱える「もやもやとした闇」を上手く表現したのもあり話題になったのだろうとも感じた。それだけ地方の方が上京することは長渕剛が歌う「とんぼ」の世界であるんだなぁと感じた。

ネット社会になり、物流的には都会も地方もかわらないが、この地方という江戸時代から脈々と続くテンプレートは消えることがないだろう。都会の人間にDQNのカッコ良さはわからないし、車がないと行きていけないアメリカのような暮らしも面倒だ。

この本を読んで改めて思った。地方は旅をする場所で住むのはムリだろうなと。

ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て