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「武器としての決断思考」を読む

元々、著者が行なっている京都大学での講義内容を元に書き起こしたものらしいが、私の様な学のない人間でもこういった高いレベルの教養を知ることが出来る。私は図書館で借りたので、無料で(大変申し訳ございません)、いい時代である。

本のタイトルは最近の新書らしく「インパクト」のあるものになっているが(どうやら最近の新書の販売戦略らしいが…)、内容は他のインパクト本と違って内容も素晴らしいものでした。ザッといえば他人の意見や世間の情報に惑わされず、自分の考えを構築して、人生の決断をしていくことが自分自身の「武器」になると説いている。その考え方にディベート術を活用し自分にあった反論にも負けない意見、いわゆる決断を導き出すことを教えている。

正直な所、これを大学生に教えるには早いのでは、と思った。なぜならこういった事を現場で傷を追いながら覚えて来た世代からすれば「頭でっかち」になると考えてたが、現在、自分の身を案ずるのに精一杯で評価になりずらい新卒のボウヤに昔の様に年レベルで時間を掛け、仕事やノウハウを教えたりしないからだ。これでは我々世代と比べて大分、不公平である。自戒の意味を込めて、著者の「武器を配る」考えに賛同したいと思う。

逆に思考停止しかかっている同世代のオッサンにも読んで欲しいと思う。新卒のボウヤもこういう武器を携えて社会に出てきているのだよと。私は正直、ウカウカしていられないと思いましたね。若者と比べ、体力や瞬発力でかなうわけがない、知力は情報化社会で余りあるぐらいについてきている、じゃあ何でボウヤ達に勝つか、もう先に生きてきただけの経験、修羅場をくぐり抜けてきた傷跡しか彼らにかなうものがない。経験を活用して、動きの速いボウヤ達をケムに巻きながら老獪に生きながらえて行くしか出来ません。

ある種、この本は我々世代の戒めの本と取らえてよいと思います。もちろん大多数は「ゆとりちゃん」かもしれん。だけどこういった武器をもったボウヤ達が多数いることも忘れちゃいけません。ムダについた横っ腹の脂と並行してつまらねぇプライドまで少しづつ付いてくる世代、常に足元を見つつ著者のいう「なんでも素人のフリして、なめられながら」初心を忘れず、研鑽していかなくてはなりませんね。

武器としての決断思考 (星海社新書)

武器としての決断思考 (星海社新書)